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【作業療法 心に残るあの場面】趣味活動である「釣り」を続けるために
40代の彼は職場での事故で腕のほとんどを失いました。残っていたのは上腕骨(肩から肘までの骨)の半分以下で、日常生活に大きな支障をきたしました。一般に、手足の大部分を失った場合には義手や義足を作成し、本人の希望に基づいて日常生活での使用を訓練していきます。しかし、彼の場合、言葉少なで日常生活での義手の使用もなかなか進まない状況でした。 彼はもともと釣りが趣味でした。腕を失ったことで喪失感を抱え、釣りができないことで生きる楽しみも失っていました。釣りは片手で竿を握り、片手でリールを巻くという両手の動作が求められます。一般的な義手は先端がフックのような形をしており、物をつまんだり押さえたりする補助的な役割しか果たせません。しかし、私はこの義手を改良して竿が立てられるようにし、釣りの再開を目指してはどうかと提案しました。 その提案を聞いた瞬間、それまで暗かった彼の表情がぱっと明るくなりました。その後、改良した義手を使った操作訓練を作業療法で行い、数年ぶりに彼は再び海へ戻ることができました。「本当はブリが釣りたいんだ」と言いながらも、「アジやメバルを釣るの
2月6日
【作業療法 心に残るあの場面】仕事復帰を果たし、支援する側に立つことができた作業療法の支援
介護士のAさん(50代)は、通勤中に原付バイクで交通事故に遭い、左腕に重傷を負いました。救命センターに運ばれ、集中治療室での治療が始まりましたが、同時に作業療法もスタートしました。上肢のみのけがだったため、自宅退院後も外来での治療を続けることになりました。 Aさんは入院中も外来通院中も、作業療法の場面で涙を見せることが多く、神経損傷による強い痛みや気持ちの落ち込みと戦っていました。作業療法では、上肢の機能回復訓練や日常生活動作の練習を続け、左肩の痛みを軽減するためのスリング(吊り帯)を作成するなど、症状が少しでも楽になるよう一緒に解決方法を探りました。 事故の前、Aさんはケアマネージャーの資格取得のための実務経験を積んでおり、あと半年の勤務が必要でした。しかし、けがの影響で「介護士への復帰は諦める」と語ることもありました。それでも、左肩はわずかに動く程度でしたが、肘の動きは回復し、調理や掃除などの家事をこなせるようになりました。 家事ができるようになり自信を取り戻したAさんは、職場に相談し、できる範囲での実務を調整してもらい、ついに職場復帰を果た
1月2日
【作業療法 心に残るあの場面】ミャンマー国におけるある高校生との出会い
私が彼と出会ったのは、研究のために訪れていたミャンマーの病院の診察室でした。彼は地元の高校に通っている学生でしたが、ハンセン病という感染症により神経が侵され、指や手の筋肉がうまく動かせなくなっていました。そのため、筆記用具を持つことができず、勉強ができないと涙ながらに訴えて...
2025年9月5日
【作業療法 心に残るあの場面】スイッチを工夫したパソコンの導入でふたたび前向きになった難病患者さん
ALS(筋萎縮性側索硬化症)という全身の筋肉が徐々に衰えていく難病にかかった50代のAさん。発症して1年が経過し、歩いたり、物が持てなくなってしまったため入院となりました。入院中の心身機能の維持と生活環境をサポートするために作業療法が開始されました。...
2025年8月1日
【作業療法 心に残るあの場面】縄跳びができた喜びから小学校に登校できた男児
A君はある日を境に学校に行けなくなりました。家の中でも元気がなく、お母さんも原因が分からずに困っていました。しかし、運命が動き始めたのは、作業療法士との出会いでした。 作業療法士はA君との関わりの中で、学校に行けない理由が「縄跳びができないことが恥ずかしくて、学校に行きたく...
2025年6月6日
【作業療法 心に残るあの場面】利き手が使えなくてもイキイキとした生活が送れるようになった作業療法支援
乳がん治療中の50代のAさんは,再発のため化学療法を実施していました.ある日,箸を落とすことがあり,薬指と小指の動きに違和感があり,整形外科を受診しました.作業療法が処方され,使いやすい箸を紹介し,利き手で食事が取れるようになりました.しかし,数日後,右肩,肘も動きづらくな...
2025年5月2日
【作業療法士 心に残るあの場面】ひきこもりがちな生活から福祉的な就労につながったこころの作業療法支援
元々人付き合いが苦手で、仕事の業務量が増えたことで社会への恐怖感が強まっていった30代のAさん。次第に会社に行くことや外に出ることへの不安が強まり、最終的に退職し、家に引きこもるようになってしまいました。そんな中、家族の勧めで受診に至り、ある日、Aさんは不安への対処を学びた...
2024年11月1日
【作業療法士 心に残るあの場面】作業療法により、最期の願いを叶えることができた余命半年の男性
Aさんは、自営業を営んでいました.ある日の仕事中に急に足腰に力が入らなくなり、歩けなくなりました.病院に搬送され、腰の神経に悪性腫瘍が見つかりました.Aさんは足腰の麻痺の診断に加えて、余命半年を宣告されました.Aさんは緩和病棟に入院となり、そこで、作業療法士と出会いました....
2024年9月6日
【作業療法士 心に残るあの場面】高齢者への退院に向けた作業療法支援
80代のAさんは、ご自宅でご家族と一緒に暮らし、家事全般を担っていました。しかし、ある日自宅内で転倒し、利き手である右手を骨折してしまいました。Aさんは、これで家事ができなくなるのではないかと心配し、すっかり落ち込んでしまいました。...
2024年8月16日
【作業療法士 心に残るあの場面】夢を取り戻したパティシエ
Aさんは、製菓専門学校を卒業したばかりの20代の若者でした。彼の夢は、洋菓子店でパティシエとして働くこと。しかし、卒業後すぐに交通事故に遭い、彼の人生は一変しました。診断は脊髄損傷。両手の握力低下と痺れ、両足の筋力低下とバランス障害に苦しむことになったのです。理学療法士と共...
2024年7月19日
【作業療法士 こころに残るあの場面 趣味の写真撮影を通して自信を取り戻し前向きになれた作業療法支援】
脳卒中を発症したAさん。入院当初は、思い通りに体を動かせず意欲が低下しており、訓練が出来ない状態でした。Aさんの趣味は写真撮影。孫の運動会では専属カメラマンとして、撮った写真を家族で見ることが定番とのこと。 作業療法では、片手でも持てるデジタルカメラを用意し、気晴らしに風景...
2024年7月5日
【作業療法士 心に残るあの場面】失われた役割を取り戻した高齢者への作業療法支援
作業療法士が経験したエピソードを紹介します。 通所サービスに通う80代のAさんは、最近物忘れが多いと家族から指摘されていました。家族は「危ないから何もしなくてもいい」と言い、Aさんは毎日の役割である料理をやめてしまいました。Aさんは作業療法士に「私は何もできなくなってしまい...
2024年6月21日
【作業療法士 心に残るあの場面】高校最後の大会まで部活を続けるために
作業療法士が経験したエピソードを紹介します。 彼女を担当したのは、高校3年生に進級する3月のことでした。彼女はバスケットボール部に所属しており、キャッチ動作や転倒、コンタクトプレーで何度も突き指をしていました。その結果、指が徐々に曲がって完全には伸びなくなってしまいました。...
2024年6月7日
【作業療法士 心に残るあの場面】再登校を叶えた中学生への訪問作業療法支援
作業療法士が経験したエピソードを紹介します。 数か月前、A君の両親の離婚は彼の人生に大きな影響を与えました。中学2年 生のA君は、その混乱した時期に学校に行くことが難しくなり、周囲の心配や 助言に耳を傾けることもできず、孤独と痛みに包まれていました。...
2024年5月24日
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