【作業療法 心に残るあの場面】ミャンマー国におけるある高校生との出会い
- OT NUHW
- 9月5日
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私が彼と出会ったのは、研究のために訪れていたミャンマーの病院の診察室でした。彼は地元の高校に通っている学生でしたが、ハンセン病という感染症により神経が侵され、指や手の筋肉がうまく動かせなくなっていました。そのため、筆記用具を持つことができず、勉強ができないと涙ながらに訴えていました。
その病院では、ハンセン病の診断や治療薬の配布は行っていたものの、リハビリテーションは積極的に行われていませんでした。私たちは新しい治療法を研究しており、その治療法を試したいと国から許可を得ていました。彼もその治療に参加したいと希望し、毎週1回、12週間にわたって治療研究に参加してくれました。
治療の結果、彼の手の機能が回復し始め、動かなかった指が少しずつ動くようになりました。通常、ハンセン病にかかると侵された神経は回復しないため、後遺症が残ることが多いです。しかし、彼のように早期に診断されて治療を開始すると、回復の可能性が高まります。
治療研究期間が終わった後も、彼は毎週病院に通い続けました。その結果、まったく動かなかった指が動くようになり、ついには筆記用具を持てるまでに回復しました。彼は勉強できる喜びを何度も感謝の言葉にし、満面の笑みで私たちと握手をしました。その手にはしっかりと力が込もっており、初めて会ったときの力のない手とはまったく違っていました。
