80代のAさんは、ご自宅でご家族と一緒に暮らし、家事全般を担っていました。しかし、ある日自宅内で転倒し、利き手である右手を骨折してしまいました。Aさんは、これで家事ができなくなるのではないかと心配し、すっかり落ち込んでしまいました。
医療機関で処置を受けた後、作業療法が開始されました。最初は受け身で作業療法をこなしていたAさんですが、骨の癒合が進むにつれて、実際の家事動作を取り入れた作業療法が始まりました。少しずつ動作を達成するごとに、Aさんの表情には笑顔が増え、物事に積極的に参加する姿が見られるようになりました。
退院前の訪問では、Aさんが再び家事を行うことに強いこだわりを持ち、家事を再開できることに安心している様子がうかがえました。再び転倒しないように、家具の配置を見直し、動線を整備しました。
退院後、Aさんは以前とほぼ同じ生活スケジュールを送れるようになりました。「また家族のために家事ができることが本当に嬉しい」とAさんは作業療法士に笑顔で感謝を述べました。転倒もなく、普段通りの生活に戻れたAさんの姿には、私たち作業療法士も自分の仕事を全うできたことに充実感を覚え、胸が熱くなりました。
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