作業療法学科の浅尾章彦助教らの研究論文が国際誌「Experimental Brain Research」に掲載されました.
浅尾先生は,磁気刺激や電気刺激を用いた神経リハビリテーションの開発に関する研究を行っています.本研究では,身体の錯覚現象であるラバーハンド錯覚に経皮的神経電気刺激(末梢神経への電気刺激)を併用することが,錯覚を大きく生じさせることを明らかにしました.
本研究は,14期生 山田和樹さん,風間結菜さん(浅尾ゼミ所属)と共に行った研究です.
研究概要と浅尾先生からのコメント:
身体の錯覚現象にラバーハンド錯覚があります.ラバーハンド錯覚は,視覚刺激と触覚刺激を実験的に操作することで,偽物の手(ラバーハンド)をあたかも自分の手のように認識する錯覚現象です.ラバーハンド錯覚は,切断後の幻肢や脳卒中後の身体失認などの病態機序の解明やリハビリテーション方法の開発などに臨床応用が可能と考えられています.
本研究では,健常者を対象に,ラバーハンド錯覚に経皮的神経電気刺激を併用した際に身体の認識がどのように変化するかを検討しました.その結果,触覚刺激と視覚刺激の呈示が時間的に一致していることと経皮的神経電気刺激による感覚入力は錯覚を大きくすることが明らかになりました,加えて,それぞれが別の機序で錯覚に影響している可能性があることが分かりました.
本研究で得られた結果を,新たな神経リハビリテーション方法の開発に応用していきたいと考えています.
論文情報
Asao A, Shibuya K, Yamada K, Kazama Y. Effects of transcutaneous electrical nerve stimulation and visuotactile synchrony on the embodiment of an artificial hand. Exp Brain Res. 2018 Oct 10. doi: 10.1007/s00221-018-5398-9. [Epub ahead of print]
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