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外川佑講師の研究論文が「総合リハビリテーション」に掲載されました
作業療法学科の外川佑講師らの研究論文が「総合リハビリテーション」に掲載されました。
外川先生は、脳卒中などの障害のある対象者や高齢者を対象とした自動車運転に関する研究を行っています。本研究では、脳卒中による右半球損傷患者の運転再開に関係する要因を、神経心理学的検査やドライビングシミュレータ、実車評価の観点から検討しました。
本研究は、本学の関連病院である新潟リハビリテーション病院とともに行った研究です。
研究概要とコメント:
右半球損傷(Right Hemisphere damage:以下,RHD)に由来する半側空間無視(Unilateral Spatial Neglect: 以下USN)症例の自動車運転については,中等度から重度症例は明らかな禁忌とされています。臨床場面では、USNの代表的な検査であるBehavioral Inattention Test(以下BIT)において、症状の存在を疑う基準値であるカットオフ値未満であったRHD患者は、注意深く自動車運転評価をすべきであるとされています。しかしながら、外川講師が過去に報告したケースシリーズ研究では、BITがカットオフ値以上であっても実車運転評価やドライビングシミュレータ(Driving Simulator:DS)評価において、USNの存在を疑わせる運転行動が観察された症例の存在が示されてきました。本研究では、これまでに自動車運転評価を実施したRHD患者の神経心理学的検査、DS成績、実車評価上の問題と運転可否判定の関係を分析しました。その結果、運転可能群と不可群の間に神経心理学的検査のスコアの差は認めないものの、不可群の方がDSや実車運転評価上でUSNに起因する問題が観察されやすいことが明らかになりました。
本研究の結果から、RHD患者における軽度のUSNの問題は,DSや実車評価などの動的評価の活用により事前に検出できる可能性が示唆され、作業療法士がDSや実車評価を用いて評価する意義があると考えています。
論文情報:
外川佑、佐藤卓也、村山拓也、櫻庭彰人、﨑村陽子:右半球損傷患者の神経心理学的検査、ドライビングシミュレータ、実車評価と運転可否判定の関係.総合リハビリテーション47(4), 373-379, 2019.