作業療法士が経験したエピソードを紹介します。
通所サービスに通う80代のAさんは、最近物忘れが多いと家族から指摘されていました。家族は「危ないから何もしなくてもいい」と言い、Aさんは毎日の役割である料理をやめてしまいました。Aさんは作業療法士に「私は何もできなくなってしまいました。何かをしようとすると家族から止められます」と自信を失っていました。
作業療法士はAさんと一緒に料理の練習を行いました。今までのように一人で料理をすることはできませんが、昔から慣れ親しんだ野菜の皮むきや刻みができることを確認しました。そして、そのことを家族に伝えました。家族はAさんが何もできないと思い込んでいましたが、Aさんにできる作業を行ってもらうようにしました。
その結果、Aさんは再び家族と一緒に料理をすることができるようになりました。Aさんは「家族のために料理ができることが嬉しい」と涙ながらに喜びました。このように、作業療法は自信を取り戻し、家族との絆を深める手助けとなります。
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