Aさんは、自営業を営んでいました.ある日の仕事中に急に足腰に力が入らなくなり、歩けなくなりました.病院に搬送され、腰の神経に悪性腫瘍が見つかりました.Aさんは足腰の麻痺の診断に加えて、余命半年を宣告されました.Aさんは緩和病棟に入院となり、そこで、作業療法士と出会いました.作業療法の時間は、入院中、リラックスできる唯一の時間でした.ある日、Aさんは、無理だと思いつつ、作業療法士に「最期は仕事に付き合いのある方に挨拶周りをしたいんだ.自分で始めた仕事は自分自身で締めたい.でも車に乗ることもできないし.」と話しました.Aさんの思いを聞いた作業療法士は、主治医と相談しました.主治医もAさんの家族からお願いされていたそうです.そこで、作業療法士は、主治医の許可のもと、AさんとAさんの家族に、車の乗り入れの方法について提案を行いました.家族の手伝いのもと、Aさんは車に乗れたことにより、外出し、仕事の付き合いのある方に最期の挨拶をすることができました.
3ヵ月後、Aさんは天国に旅立たれました.Aさんの家族より、作業療法士宛のAさんの手紙を受け取りました.手紙には、「自分の仕事を自らで締めることができて良かったです.最期に作業療法を受けることができて幸せでした.ありがとうございました.」と書かれていました.
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