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新潟医療福祉大学  作業療法学科 

【作業療法士 心に残るあの場面】高校最後の大会まで部活を続けるために

作業療法士が経験したエピソードを紹介します。


彼女を担当したのは、高校3年生に進級する3月のことでした。彼女はバスケットボール部に所属しており、キャッチ動作や転倒、コンタクトプレーで何度も突き指をしていました。その結果、指が徐々に曲がって完全には伸びなくなってしまいました。

部活を続けたいという強い思いを抱えながらも、キャッチ動作で指がさらに悪化する恐怖から、彼女は部活を休みがちになっていました。手外科医からは、「部活を続けられるなら続けてほしいが、これ以上悪くなるのも心配だ」という意見を受けました。実際に彼女と話すと、指が伸びないことが復帰を妨げる一因であるのは明らかでしたが、心理的な影響も大きいように感じました。

「最後の大会に出たい!」という彼女の強い思いを聞き、医師とも十分に相談したうえで、「部活動を継続しながら、可能な限り指の動きを良くする」ことを目標に設定しました。その日から、指の動きを改善するための運動と、不安感を軽減するために装具で指を保護しながらのキャッチ動作の練習を開始しました。医療者としては、「再発を繰り返すことで、今よりも機能が悪くなるリスク」を考えるのは当然です。しかし、作業療法士としては、彼女にとって何よりも大切な「部活動を続けること」を安全に実現するためのサポートが重要だと考えました。

彼女は努力を重ね、サポーターをつけながら最後の大会まで部活を続けました。そして、最後の試合が終わったとき、彼女は満面の笑みを浮かべてこう言いました。「最後まで続けられて本当によかった」。こうして、彼女は晴れやかな笑顔とともに作業療法を卒業していったのです。

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